
稲沢市で遺留分額の計算はどう変わる?改正民法と改正前民法の遺留分請求の違いを解説
相続の場面で、特に不動産の割合が大きい場合、どのように遺留分の侵害額を計算すべきか悩まれる方は少なくありません。
さらに、改正民法によって遺留分に関する請求方法や考え方が変わったことで、改正前民法との違いが分かりにくいというご不安もよく耳にします。
そこで今回は、稲沢市で不動産を含む相続を検討している方に向けて、遺留分額の計算の基本から、改正民法と改正前民法の遺留分に関する請求内容の相違まで、順を追って整理していきます。
まずは遺留分制度の目的や相続人ごとの遺留分割合を押さえたうえで、遺留分侵害額を計算する際に見落としがちなポイントを分かりやすく解説していきます。

稲沢市で知りたい遺留分侵害額と遺留分権
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に、最低限取得できる取り分を保証する仕組みです。
民法では、直系尊属のみが相続人となる場合は相続財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1が、遺留分の総体的割合と定められています。
この総体的遺留分を、各人の法定相続分に応じて按分したものが、個々の相続人の遺留分割合となります。
まずは、自分が遺留分権利者に当たるのか、そしてどの程度の割合が認められるのかを把握することが、遺留分侵害額を検討する出発点になります。
稲沢市で多いのは、被相続人の財産の中で不動産の占める割合が高い相続です。
不動産は現金と異なり分けにくいため、特定の相続人に不動産を集中させる遺言や生前贈与が行われると、他の相続人の遺留分を侵害する可能性が高まります。
また、市場価格と相続税評価額に差がある場合、どの評価を前提に話し合うかで、遺留分侵害額の認識が当事者間で食い違うことも少なくありません。
そのため、不動産が多い相続では、評価方法と分け方の両方を意識して、遺留分を確認しておくことが重要になります。
遺留分侵害額を正確に把握するには、まず相続財産と債務の全体像を整理することが欠かせません。
民法では、遺留分の算定に用いる「基礎財産」として、相続開始時の財産から債務を控除し、一定の生前贈与などを加算した金額を用いると定められています。
したがって、預貯金や不動産だけでなく、借入金、保証債務、長期の未払金なども含めて、一覧にしておく必要があります。
この整理ができていれば、自分の遺留分額と、その侵害額がどの程度かを、後の計算や協議でスムーズに検討しやすくなります。
| 確認項目 | 主な内容 | 遺留分との関係 |
|---|---|---|
| 相続人の範囲 | 配偶者・子・直系尊属 | 遺留分権利者の確認 |
| 遺留分割合 | 3分の1または2分の1 | 遺留分額の算定基礎 |
| 財産と債務 | 不動産・預貯金・借入金 | 基礎財産額の把握 |

改正民法に基づく遺留分侵害額の計算手順
改正民法では、遺留分侵害額を求める際に、まず「基礎財産」を把握することが重要とされています。
基礎財産とは、被相続人が死亡時に有していた財産に、生前贈与などを一定の条件で加算し、そこから債務を控除した金額です。
民法第1042条では、この基礎財産の範囲と、生前贈与を加算する期間や例外が定められています。
さらに民法第1043条では、基礎財産に法定相続分と遺留分割合を乗じて、各相続人の具体的な遺留分額を算出する流れが示されています。
遺留分侵害額を算定する流れとしては、まず遺産全体の評価額を把握し、生前贈与や特別受益を加味して基礎財産を確定します。
その後、各相続人の法定相続分と遺留分割合を掛け合わせて、相続人ごとの遺留分額を計算します。
次に、実際に取得した相続分や贈与分と比較し、不足している金額があれば、その不足分が遺留分侵害額になります。
このように、基礎財産の算定、遺留分額の計算、実際の取得分との比較という順序で確認していくことが求められます。
不動産が多い相続の場合は、相続税評価額や固定資産評価額など、どの評価を基準にするかが問題となりやすいです。
一般に、遺留分侵害額の算定では、時価に近い適正な評価額を用いることが望ましいとされていますが、具体的な評価方法は事案ごとに異なります。
評価額の見立て違いがあると、遺留分侵害額の認識も当事者間で大きくずれてしまうおそれがあります。
そのため、不動産の評価や生前贈与の扱いに迷う場合には、相続や不動産に詳しい専門家に相談しながら、金額の前提条件を丁寧に確認していくことが大切です。
| 計算段階 | 主な内容 | 確認の着眼点 |
|---|---|---|
| 基礎財産の算定 | 遺産と生前贈与の整理 | 民法第1042条の要件 |
| 遺留分額の計算 | 法定相続分と遺留分割合 | 各相続人ごとの持分 |
| 侵害額の判定 | 実際取得分との比較 | 不足分を金額で把握 |
改正前民法との相違点―請求内容と不動産への影響
改正前民法では、遺留分を侵害された相続人は「遺留分減殺請求」により、贈与や遺贈の効力を遺留分を侵害する限度で失わせ、その結果として不動産などの物そのものや共有持分を取得する仕組みでした。
一方、改正民法では「遺留分侵害額請求」として、侵害された額に相当する金銭の支払を求める権利とされ、性質が金銭債権に変わっています。
この変更により、請求の対象が「物」から「金銭」に一本化され、相続人間の清算方法が明確になったとされています。
そのため、相続人は不動産の名義を移すよりも、まず侵害額に見合う金銭での解決を検討することが重要になっています。
現物返還が基本であった改正前の遺留分減殺請求では、相手方が所有する不動産の一部を取得するケースが多く、結果として複雑な不動産共有が生じていました。
しかし、改正後は原則として金銭の支払請求となるため、遺留分侵害額請求を行っても自動的に不動産の共有状態が生じることはありません。
この点は、相続後の管理や売却を見据えた場合に大きな変化であり、不動産が関係する相続紛争の長期化を防ぐ効果が期待されています。
もっとも、当事者間の合意によっては、不動産の一部を譲渡して遺留分問題を解決する方法が選択される余地も残されています。
また、いつ相続が開始したかによって、適用されるルールが異なる点にも注意が必要です。
民法の改正は2019年7月1日に施行され、この日以後に開始した相続については遺留分侵害額請求が適用される一方、同日より前に開始した相続には改正前の遺留分減殺請求の規定が引き続き用いられます。
裁判所の案内でも、2019年7月1日以前に被相続人が亡くなった場合には、遺留分侵害額の請求調停ではなく、従来どおり遺留分減殺による物件返還等の調停申立てを行うことになると示されています。
したがって、手続や請求内容を検討する際には、まず被相続人が亡くなった日付を確認し、どちらの制度が適用されるのかを整理することが欠かせません。
| 比較項目 | 改正前民法 | 改正後民法 |
|---|---|---|
| 請求の名称 | 遺留分減殺請求 | 遺留分侵害額請求 |
| 権利の内容 | 物の返還を求める権利 | 金銭支払を求める権利 |
| 不動産への影響 | 共有状態が生じやすい | 共有が生じにくくなった |
| 適用される相続開始日 | 2019年6月30日以前 | 2019年7月1日以後 |

稲沢市で遺留分侵害額を請求・相談する際の実務ポイント
まず押さえておきたいのは、遺留分侵害額請求権には民法1048条で明確な期間制限があることです。
相続の開始と遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年行使しないときは、請求権は時効により消滅します。
また、相続開始の時から10年を経過したときも同様に消滅します。
したがって、内容証明郵便などの方法で、遺留分侵害額を請求する意思表示を早期に相手方へ到達させておくことが極めて重要です。
話し合いで解決できない場合に利用されるのが、家庭裁判所の調停手続です。
調停では、調停委員が当事者双方から事情を聴き、提出資料を踏まえて合意案の提示や助言を行いながら話合いによる解決を目指します。
もっとも、調停申立てだけでは遺留分侵害額請求の意思表示とは扱われないため、別途内容証明郵便等による通知を行う必要があります。
調停で合意に至らない場合には、遺留分侵害額の支払を求める訴訟に移行し、裁判所の判断を仰ぐ流れになります。
さらに、遺留分侵害額の問題は、不動産を含む遺産全体の評価や他の相続人との利害関係とも密接に結び付いています。
そのため、早い段階で遺産の内容や相続人の範囲、過去の生前贈与の有無を整理し、遺留分侵害の有無と金額の見通しを確認しておくことが望ましいです。
相談先を選ぶ際には、遺留分侵害額請求に関する裁判例や、家庭裁判所での調停実務に詳しい専門家かどうかを事前に確認すると安心です。
こうした準備を整えたうえで協議・調停・訴訟のいずれに進むか検討することで、時間的な余裕を持って適切な対応を取りやすくなります。
| 確認したいポイント | 主な内容 | 注意すべき点 |
|---|---|---|
| 期間制限の把握 | 1年・10年の消滅時効 | 起算点と経過年月の確認 |
| 意思表示の方法 | 内容証明郵便で請求通知 | 文面と到達日の証拠化 |
| 手続の選択 | 協議・調停・訴訟の検討 | 不動産評価と費用対効果 |
まとめ
遺留分侵害額の計算では、改正民法と改正前民法で請求の中身が大きく異なります。
不動産が多い相続では、評価方法や生前贈与の扱い、債務控除などを丁寧に整理することが重要です。
また、相続開始の日や請求できる期間制限によって、取るべき手続も変わります。
複雑な計算や他の相続人との調整を、ご自身だけで抱え込む必要はありません。
当社では、不動産を含む遺留分侵害額の検討から具体的な請求方法まで、分かりやすく丁寧にご説明いたします。
少しでも不安や疑問があれば、些細なことでも結構ですので、どうぞお気軽に当社へご相談ください。
